• 013.英雄たちとともに成しとげた冒険

013.英雄たちとともに成しとげた冒険


アルゴ一号の遠征と魔女メディア

怠学宅を求めて危険な旅に出帆

イオルコス王の恵子イアソンは、王位を狙う叔父ペリアスによって、幼いときに山に捨てられた。しかし体が馬で上半身は人間というケンタウロスに助けられ、その庇護のもとに成長する。還しい著者になったイアソンは、叔父に王位を返上させるべく、イオルコスに赴いた。叔父は答えた。
「王位を譲ってやってもいい。ただしおまえが金羊毛を手に入れ、それを持ち帰ったら、だ」
金羊毛とは遠く黒海の彼方、コルキスにある世界に鳴り響く宝。決して眠らない竜が見張っていて、人は近づくことすらできないという。
「わかりました。必ずや持って帰りましょう」
イアソンは神々の助けを得て船を建造し、アルゴ1号と名づけた。そして遠征の参加者を募ったところ、優れた勇者が50人も集まった。その中にはヘラクレスやテセウス、オルフェウスといった、舌に聞こえた英雄たちも入っていた。
一行を乗せ、アル“コ-号は出帆する。だがその旅は、決して順調ではなかった。旅の途中、キジユコス王の島に立ち寄った一行は、島をあげての歓迎を受けた。しかし誤解から戦いとなり、一行は王と島民を殺してしまった。ベブリユクス人の国では王に拳闘の試合を挑まれ、このときもー行のひとりが王を撲殺してしまう。
その後、船はトラキアに着き、一行は賢者として知られる盲目のピネウス王に面会した。そこで、王の食事のたびに食べ物を奪う、ハルビユイア退治を頼まれる。この、老婆の顔と禿厩の翼を持つ怪鳥を追い払うと、感謝した王はコルキスへの道と難関を切り抜ける方法を教えてくれた。
その難関は(ぶつかり合う岩)と呼ばれるふたつの動く岩礁で、通り抜けようとする船をすべて押しっぶすというものだった。だが、イアソンたちはピネウス王の教えどおりに鳩を飛ばし、その後から船を進めた。鳩が岩の間を通過したとたん、凄まじい勢いで岩と岩がぶつかり、次の瞬間、反動で開く。アルゴ-号はその一瞬の隙を狙って、岩と岩の問を全速力で通り抜けたのだ。難題を克服し漂泊の旅にコルキスに到着すると、アイ工テス王は金羊毛を与えるにあたって、ある難題を持ち出した。
「青銅の角とひづめを持ち、鼻から火を吹く牡牛をくびきにつないで鍬をつけ、畑を耕してほしい。それができたら、畑に竜の牙を蒔くのだ」
さすがのイアソンも困り果てた。その夜、イアソンのもとへ王女メディアが忍んできた。
「私をあなたの妻にしてくださるなら、この難題を解決する方法をお教えしましょう」
美しいメディアにいい寄られ、イアソンは喜んで申し出を受ける。彼女は魔法に長けていた。
「私が調合したこの薬を全身に塗れば、牝牛の吐く炎で火傷することはありません。竜の牙からは兵士が現れるので、あなたの兜を投げるのです」
薬の効き目は確かで、イアソンは難なく牝牛に畑を耕させ、竜の牙を蒔いた。するとそこから兵士たちが生えてきて、イアソンに襲いかかった。彼が兜を投げると、兵士たちはそれを奪い合って同士討ちを始め、全滅したのである。
こうしてイアソンは難題を解決した。だが、王は金羊毛を渡そうとしなかった。そこでメディアが魔法で見張りの竜を眠らせている問に宝を盗み出し、一行は夜陰にまぎれて船を出したのだ。
彼らの逃亡に気づいた王は、船で追いかけてきた。あわや追いつかれそうになったとき、メディアはなんと連れてきた幼い弟を殺して死体を切り刻み、海に投げ込んだのである。王は船を停め、王子の亡骸を拾い集めた。その間にアルゴ-号は逃亡に成功したが、イアソンはメディアの冷酷さに怖気を震ったのである。
帰路も一行の旅は苦難の連続だった。メディアの残虐な行為に怒ったゼウスが起こした嵐のため、船は進路を大きく外れ、リビアまで流されたりもした。一行はこのとき、船を担いで砂漠から脱出している。数々の危機を切り抜け、イアソンたちは出発から4か月後、イオルコスに帰り着いた。

復讐に燃える魔女メディア

だが、金羊毛を持ち帰ったにもかかわらず、ペリアスはイアソンに王位を譲ろうとしない。業を煮やしたメディアは、恐ろしい策略を思いついた。
彼女は王の娘たちの目の前で、
「魔法の力で、お父様を若返らせてあげるわ。ちょっと見ててごらんなさい」
と大鍋に湯を沸かし、その中に老いた羊を投げ込んだ。そしてメディアが呪文を唱えると、たちまち羊は若返って鍋から飛び出してきた。娘たちは驚いて真似をしようと、宅王を鍋に投げ入れる。
だが、メディアが呪文を唱えなかったので、王は煮えたぎる鍋の中で死んでしまった。人々はこれを知ると、恐ろしい魔女とその夫を追放した。
ふたりはコリント国に流れ、そこで暮らすことになった。イアソンは残酷なメディアにほとほと嫌気がさしていた。そんなとき、コリント国王から彼に申し出があった。
「魔女と別れて、私の娘の婿にならないか?」
イアソンはこれを受け入れる。メディアは夫の裏切りを怒り、悲しんだが、最後には納得したかのように見えた。だがそれは、見せかけだった。
イアソンと王女との結婚式当日。王女はメディアから贈られた花嫁衣装に袖を通した。そのとたん、衣装が燃え出した。
「あ、熱い!、お父様、助けて!」
炎に包まれた花嫁は、娘を助けようとした王ともども焼け死んだ。そしてメディアは、イアソンとの間にできたふたりの子どもも殺し、竜車に乗っていずこともなく去っていったのである。
失意のイアソンはコリントを追われ、国々をさまよった末に、アルゴ-号が引き上げられていた
浜に戻ってきた。そして]朋れ落ちた船の下敷きになり、その数奇な人生に終止符を打ったのだ。


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