• 001.乳海攪拌がもたらしたもの

001.乳海攪拌がもたらしたもの


太陽と月と人間の誕生

いくつかある創造神話のひとつである。
昔、神々と悪神アスラたちが集まって、不死になる方法について協議した。その結果、霊薬アムリタを飲めば望みが叶うことがわかった。最高神ヴイシュヌにアムリタの作り方を聞いた彼らは、さっそく作業にとりかかった。
まず海からそびえるマンダラ山を攫拝棒とし、その撹拝棒に蛇王ヴァースキを巻きつけ、両端をそれぞれ神々とアスラたちが引っばって回すことにしたのである。だが、両方から引っばられたヴァースキは苦しみ、口から世界中を焼きつくすほどの猛毒を吐いた。すると最高神のひとり、シヴァがその毒を飲み干した。世界は救われたが、シヴァの喉は毒で青くなった。
次にマンダラ山が、その重みで海底に沈みはじめた。だが、ヴイシュヌがクールマ (大亀)に化身してマンダラ山の下に入り、山を支えた。
親拝が進むと海中生物が死に絶えた。マンダラ山の木々もこすれ合って山火事が起き、生き物たちが焼死した。木々の灰や生き物たちの残骸が大海に流れ出て混ざり合い、海は乳色に変わっていた。そして、その中から太陽と月、後にヴイシュヌの妻となるラクシュミーが生まれた。攪拌はその後1000年間続けられ、乳海からはさらに種々のものが生まれ、新しい世界もできていった。
そして最後に、医学の神タスヴアンタリがアムリタの入った壷を持って現れたのである。
だがアムリタの所有権をめぐり、神々とアスラたちの間で戦いが起こった。しかもこの戦いの合間に神々はアムリタを飲み、不老不死を獲得していたのだ。同じころ、アスラのラーフが神々に化けて、アムリタを飲みはじめた。
秘薬がラーフの喉に達したとき、太陽と月の知らせで駆けつけたヴイシュヌは、武器の円盤でその首をはねた。
そのため、ラーフは頭だけ不死になったという。ラーフはそれ以来、告げ口をした太陽と月を恨むようになり、今でもこれらを追いかけてときどき飲み込む。体がないために太陽と月はすぐに現れる。これが日食と月食だ。
人間の誕生にもヴィシュヌはかかわっている。
- あるとき人間のマヌは川で大魚に襲われた小魚を助けた。そして、この魚が成長するまで手元で育てた。やがて海に戻った魚はマヌに 「7日後に大洪水が起こり、生命が滅びる」 実はこの魚はヴィシュヌのアヴァターラ(化身) のマツヤだった。マヌはマツヤのいうとおり、船にすべての植物の種子を積み込み、洪水に備えた。洪水の後、マヌは新たな人頬の始祖になったのである。


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