• 001.解体された巨人ユミル

001.解体された巨人ユミル


天地創造と人類の起源

太古の苗、二ヴルヘイムの氷とムスペルヘイムの炎だけがあった。そのふたつがぶつかり合ったところで、雌雄同体の原初の巨人ユミルと、彼をその乳で養うことになる雌牛アウズンブラが生まれた。やがて、ユミルの体から多くの邪悪な巨人たちが誕生した。その一方、アウズンブラが餌代わりになめていた氷からは、プーリという神が現れた。そしてプーリの一族ボルは、ユミルが生んだ巨人族の娘と結婚した。
このふたりから生まれたのがオーディン、ヴィリ、ヴエーという3人の神である。
3人は力を合わせ、悪しき巨人の祖ユミルを殺害した。そのときに流されたユミルの血は大洪水を引きおこし、男女ひと組を残して巨人族を絶滅させてしまった。だが、そのひと組が後の巨人たちの祖となり、やがて神々と対立するのだ。ちなみに、彼らは世界の辺境であるヨツンヘイムと呼ばれる領域に住むようになる。
オーディンらはユミルの体を使って世界を創造した。その体を粉末にして土壌とし、腐敗した肉から小人(エルフ)たちをも生み出した。これらエルフたちには光の存在と闇の存在があり、光のエルフたちは妖精と呼ばれ、天に近い存在に、邪悪な性質を持った闇のエルフたちは地下世界に住むことになったのである。
さらに3人の神はユミルの骨を山とし、脳髄を空にまき散らして雲とした。毛髪は大地を覆う木や草を作り出す材料となった。血から海や川を、頭蓋骨から天を作り、東西南北に4人の小人を配し、それを支えさせた。
また、ムスペルヘイムから飛んできた火の粉を使って太陽や月、星を造った。
これらは規則正しく運行するように定められ、世界に昼と夜や季節が生まれることになったのだ。
並行して神々は、自分たちの領域をも造った。大地の中央に造られたそれはアスガルドと呼ばれ、オーディンの住居であるウルハラ宮殿をはじめとする神々の館が建てられた。その中央には、世界樹ユクドラシル(後述)がそびえ、宇宙全体を支えているのだ。
そして、世界は人類の誕生を迎える。 あるとき3人の神は、浜辺を歩いていた。そしてトネリコとニワトコの流木を見つけた。
彼らはトネリコから男を、ニワトコから女を造った。
アスクと工ムブラと名づけられた彼らこそが、最初の人類であった。
神々はさらにユミルの陰毛を使い、人間たちが暮らす領域ミッドガルドを造り上げたのである。


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