017.トロイアの木馬の発案者

オデュッセウスの帰還

トロイア戦争の戦況はギリシア軍有利に傾き、トロイア軍はついに城壁内に追い込まれた。戦いの原因となったパリスも戦死した。
だが、城はなかなか落ちない。戦いが長引いて、自国の旗色が悪くなるのを案じたギリシア軍の知将オデュツセウスは、l計を案じた。巨大な木馬を作らせ、その中に何十人もの兵士を忍ばせておいたのだ。次に陣を払い。船に乗って海に出る。
「見ろ! 敵が退却を始めたぞ!」
トロイア軍は飛び上がって喜んだ。そして木馬を神への貢ぎ物と思って城内に引き入れ、勝利の酒盛りを始めたのだ。
やがて要が果て、兵士たちが眠りこんだころ、木馬の中に身を隠していたギリシア兵が列に飛び出た。そして城門を開け、夜の間に舞い戻っていた自軍の兵たちを引き入れたのだ。ギリシア兵の猛襲により、無防備のトロイア兵は皆殺しにされ、城や町に火がかけられた。メネラオスはヘレナを取り戻し、10年にわたった戦いについに終
止符が打たれたのである。
トロイア陥落後、オデュツセウスは帰郷の途についた。だが、彼が故郷のイタケ島にたどり着くまでには、さらに10年という年月がかかったのだ。
- オデュツセウス一行の乗る船は、ひとつ目の巨人キュクロブスの住む島に着いた。ここで巨人に何人かの部下が食べられてしまう。オデュツセウスらはそのひとつ目をつぶし、やっとの思いで逃れるが、キュクロブスの父である海神ポセイドンの怒りをかい、以降、旅は困難を極めることになる。
魔女キルケの島では部下を豚に変えられた。美しい歌声で男たちを惑わす妖怪セイレンのいる海域を通る際は、船員に蝋で耳栓をさせ、自分の体をマストに縛りつけて難を逃れた。船や人を飲み込むカリユブディスとスキューフのいる難所では、
多くの部下を失った。
次にアポロンの牛のいる島に着くが、部下たちが生け贅の牛を食べてしまい、ゼウスの市田に打たれて船は沈没。部下は全滅してしまった。
ただひとりになったオデュツセウスは、巨人アトラスの娘カリユプソの住む島にたどり着き、熱愛されて数年を過ごした。しかし望郷の念が絶ちがたく、神に願ってカリユプソから解放された。
そのころ、イタケ島では20年もの主不在の問、館を守っていた妻ペネロペのもとに多くの求婚者が押しかけ、わがもの顔で振る舞っていた。やっとの思いで帰り着いたオデュツセウスは、恵子と協力して求婚者たちを追い払い、イタケ王の座と妻を取り戻したのである。