• 022.夜空を彩るファンタジー

022.夜空を彩るファンタジー


星座の神話

おおくま座

大神ゼウスは、狩猟の女神アルテミスのニンフ、力リストに目をつけた。何とか口説こうとしたが、主人が処女神だけに力リスト自身も処女を誓っている。そこでゼウスはアルテミスに化身して近づき、思いをとげた。その結果、彼女は処女を失っただけでなく、ゼウスの子を身ごもってしまうのである。
この事実をアルテミスにひた隠しにしていたカリストだったが、後日すべてが露顕してしまう。
「力リスト、なんじゃその腹は? 汚らわしい、すぐさま出てお行き!」
追放された力リストはやがて息子アルカスを生むが、それを知ったゼウスの妻ヘラは憎しみのあまり、彼女の髪をつかんで地に叩きつけた。許しを乞うて差しのべられたカリストの手は黒い毛に覆われていた。ヘラが彼女を熊に変えたのだ。獣になったカリストは、森の奥深くに姿を消した。
時が流れ、青年となったアルカスが森で狩りをしていたとき、1匹の牝熊に出会う。その熊こそ彼の母親だった。何も知らないアルカスは迷わず槍を突き出した。次の瞬間、ふたりの姿は消えた。
母子を哀れんだゼウスが天上に上げ、力リストをおおぐま座、アルカスをこぐま座としたのだ。
憎い母子が塁になったことを知ったヘラは、虫がおさまらず、
「あの者らが水浴びできないようにしておくれ」
と海神ポセイドンに頼んだ。そんなわけで、このふたつの星座は、決して水平線に沈んで海に入ることはできないのだという。

アンドロメダ座
メドゥーサの首を取ったペルセウスが空飛ぶ靴をはき、帰路についたときのこと。下界を見ると、海上に突き出た岩に、ひとりの乙女が縛りつけられている。ペルセウスは舞い下りて声をかけた。
「美しい娘さん、いったいどうしたのですか?」
「私は怪物の生け贅にされるのです……」
娘はエチオピアの王女アンドロメダであった。彼女の母が、娘の美貌は海のニンフよりまさるとといったため神々の怒りをかい、恐ろしい海の怪物の生け執具にされるのだという。
ペルセウスはこの乙女を助け出す決心をした。そのとき海面が大きくうねり、鯨の怪物が海上に顔を出した。そして大きな口を開け、ふたりに迫ってくる。ペルセウスはすかさず袋からメドゥーサの首を取り出し、怪物に突きつけた。すると、たちまち怪物は大きな岩になったのである。崖の上からすべてを見ていた国王夫妻は泣いて喜んだ。
ペルセウスは救出したアンドロメダと結婚した。
彼女はその生涯を終えると、天に召されて星になった。そばには常に、ペルセウス座が輝いているのである。

おうし座
フェニキア王女エウロパは、海辺近くで侍女たちと花を摘んでいた。オリンボスから下界を見ていたゼウスは、ひときわ目立つ美貌のエウロパに目をとめた。そこにエロスが愛の矢を射たため、ゼウスはたちまち恋の虜なったのである。
(うまく近づく方法はないかな? そうだー!)
ゼウスは白く美しい雄牛に変身すると娘たちに近づいた。それを見た娘たちは、この純白の牛と喜んで一緒に遊びはじめたのである。ところがエウロパがその背に乗ると、牛の歩みは急に速くなった。彼女は驚いて下りようとしたが、牛は海に入り、ぐんぐん泳ぎはじめた。エウロパはそのままクレタ島まで連れ去られてしまったのだ。
「怖がることはない、私はゼウスである」
島に着くとゼウスはエウロパにこう告げて真の姿を現し、彼女と結婚した。ふたりの間には、後にクレタ島の王となるミノスなどの子が生まれる。
その後ゼウスは再び白い雄牛へと姿を変えて天に上がり、おうし座となった。連れ去るときに雄牛が駆け回った地域は、彼女の名にちなみ、やがてヨーロッパと呼ばれるようになったのである。

オリオン座
オリオンは海神ポセイドン、もしくは大地の女神ガイアの恵子といわれる偉丈夫で、狩猟の達人だった。彼はキオス島の王の娘メロペに恋し、獲物をせっせと彼女のもとに運んだ。王は島を荒らす獅子を殺してくれたら、娘をやろうと約束する。
オリオンは難なく獅子を退治した。ところが王は、何かと口実を設けて結婚を先延ばしにした。しびれを切らしたオリオンは、酒に酔った勢いでメロペを犯す。王は激怒し、オリオンの目を刺して盲目にした。オリオンはその後、神託を受ける。
「東の島で朝日を浴びれば視力が回復する」
そこで苦労しつつ東に向かったところ、日光を浴びて視力が回復したのだ。後に彼はクレタ島に渡り、その地で狩猟の女神アルテミスの従者となった。だが、暁の女神エオスと彼が恋仲になったのを知ったアルテミスは怒り、彼を射殺する。ゼウスはそんなオリオンを天に上げ、星座にした。
別の神話によると、武勲を立て人々の称賛を浴びていたオリオンは、自分の存在は神々にも比肩しうると豪語した。彼の倣慢を神々が許さず、オリオンは女神ヘラの放った蠍に刺されて死んだ。なお、この功績で蠍は星座になっている。オリオンも星座になったものの、蠍を恐れて逃げ回り、さそり座が西へ沈むまで東から現れず、さそり座が東の空から現れると、西へ沈むといわれている。


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